酒造りの現場を体験しました〈伏見帖〉
私は、日本酒イベントを開催する中で、日本酒をもっとたくさんの人に知ってもらにはどうしたらよいかを考えていました。そこで、映像で酒造りの様子、蔵人さんたちの思いを伝えることができるのではないかと思いつきました。(この時制作した映像は「味わいストーリー」にてご覧になれます)
さっそく居酒屋で出会った杜氏の田島さんに酒造りの見学をお願いしました。田島さんは「見学するだけでは酒造りの表面しかわからない。実際に体を使って体験しなさい」とおっしゃって、翌日から酒造りのお手伝いをすることになりました。
日本酒がどのように造られるかは、本を読んだりしてなんとなく分かっているつもりでした。でも、実際に酒造りのお手伝いをさせてもらって、今までよく分かっていなかった部分がすっきりと理解できるようになることがたくさんありました。同時に、蔵人さんたち一人ひとりがどんな思いで酒を造っているかを肌で感じることができました。
ここでは、この体験を元に私なりに理解した「日本酒がどのように造られるか」をお伝えしたいと思います。
日本酒は米と水に米麹と酵母という微生物を加えて造られます。とてもシンプルに聞こえますが、酒を仕込むタンクの中ではじつに複雑な微生物の活動が行われています。微生物に働いてもらって酒を造るのです。
時にはじっと待ち、時にはおしりを叩いてよく働かせて、微生物をコントロールします。そのようにして目指す品質の酒を造るのは簡単なことではありません。