酒造りの現場を体験しました〈伏見帖〉 私は、日本酒イベントを開催する中で、日本酒をもっとたくさんの人に知ってもらにはどうしたらよいかを考えていました。そこで、映像で酒造りの様子、蔵人さんたちの思いを伝えることができるのではないかと思いつきました。(この時制作した映像は「味わいストーリー」にてご覧になれます) さっそく居酒屋で出会った杜氏の田島さんに酒造りの見学をお願いしました。田島さんは「見学するだけでは酒造りの表面しかわからない。実際に体を使って体験しなさい」とおっしゃって、翌日から酒造りのお手伝いをすることになりました。 日本酒がどのように造られるかは、本を読んだりしてなんとなく分かっているつもりでした。でも、実際に酒造りのお手伝いをさせてもらって、今までよく分かっていなかった部分がすっきりと理解できるようになることがたくさんありました。同時に、蔵人さんたち一人ひとりがどんな思いで酒を造っているかを肌で感じることができました。 ここでは、この体験を元に私なりに理解した「日本酒がどのように造られるか」をお伝えしたいと思います。 日本酒は米と水に米麹と酵母という微生物を加えて造られます。とてもシンプルに聞こ
それは、 ある出会いから始まりました。〈伏見帖〉 2011年の秋、京都市内にある居酒屋「んまい」で日本酒を造る職人さんと出会いました。 伏見の酒蔵、北川本家で酒造りをする蔵人の中村さんと杜氏の田島さんです。蔵人とは酒 造りの職人、杜氏とは彼らを束ねるリーダーのことです
伏見帖〈酒処伏見と酒造りのお話〉 住んでいる町、好きな町、思い入れのある町について、小冊子や映像で思いを紹介する「わたしのマチオモイ帖」というプロジェクトがあります。 2015年のはじめに、私はマチオモイ帖を一つ作りました。京都の酒処・伏見と日本酒をテーマにしたもので、伏見のおすすめ散歩コースと、伏見の酒蔵・北川本家さんでお伺いした酒造りのことを中心とした内容になっています。 この「伏見帖」の内容をより多くの方に読んでいただくために、このブログ「日本酒コンシェルジュ通信」に掲載することにしました。 まえがき 「伏見帖」は京都にある日本有数の酒どころ、伏見での体験をまとめたものです。日本酒がきっかけで伏見を知り、酒蔵開きで初めて伏見を訪れました。それから何度もこの伏見に足を運ぶようになりました。 歴史に思いを馳せながら古い町並みの中を散歩して楽しみました。また、酒蔵の方々と交流しながら、伏見、そして京都のものづくりの文化を感じました。 私が伏見で体験したこと、感じたこと、考えたことを、この「伏見帖」でなぞり、何かを感じていただければ幸いです。 もくじ 1. それは、 ある出会いか
伏見の酒造りはオープンマインド〈伏見帖〉 (これは、伏見の酒蔵北川本家の杜氏、田島さんにお伺いしたお話を元にまとめたもので、わたしのマチオモイ帖2015に出品した「伏見帖」のために書き下ろした文章です。) いま、全国には1500近くの酒蔵があります。酒どころと呼ばれる酒蔵が集まった地域は、伏見以外にも兵庫県の灘や広島県の西条などが有名です。 全国から酒造りの技術が結集 伏見は全国から米と技術が集まってできた酒どころです。これは他の場所にはない特徴です。ふつう酒蔵は水どころ、米どころに多く作られています。伏見は水資源に恵まれているものの、周辺で米が十分収穫できない状態でした。また、杜氏もいろいろな地方からの出稼ぎが主で、地元の杜氏はいませんでした。 そんな中、全国から米を集め、杜氏を集め、酒造りを競い合ってきた歴史があります。丹後、丹波、但馬、越前、広島、南部、能登などを本拠地にした杜氏の集団があって、それぞれ独自に技術を発達させてきました。伏見では、違う流派の杜氏たちが切磋琢磨し合い、交流することによって酒造技術が発達しました。 杜氏同士の交流 杜氏の田島さんにお話をお伺いしている時、何度も他の酒蔵