甘酒・日本酒などの多品種少量生産に適した「電気式甑(蒸米器)」の活用現場をご紹介!〈PR〉
甘酒や日本酒を造るための米を蒸す電気式「甑」。小回りがきいてエネルギー効率がよいので、多品種少量生産の現場に最適です。
麹室があるレストラン「糀Marutani」
愛知県名古屋市の中心部、テレビ塔がある久屋大通公園の北エリアに2020年9月にオープンしたレストラン「糀Marutani」には、小さな麹室があります。
ここは「蓬莱泉」「一念不動」を醸す関谷醸造が経営するレストランで、日本酒はもちろん麹を使った甘酒や料理など、酒蔵のある東三河の食文化を楽しめます。
このガラス張りの麹室では、米を蒸すところから麹づくりが行われます。麹造りの全工程が見ることができるのです。発酵好きにはたまりません。麹に使う米は、関谷醸造のある設楽町で栽培されたミネハルカ。酒蔵の麹造りの高い技術を駆使して高品質の麹が出来上がります。
ここで使う甑(こしき、米を蒸す機械)には蒸気を出さない特別なしくみがあります。蓋の部分で蒸気を回収しています。だから、場所を選ばずに使えるのがポイントです。この甑では5kgの米を約1時間かけて蒸し、麹菌を植え付ける「種付け」の工程を経て、手間をかけて48時間ほどで麹が出来上がります。お客さんに麹づくりを見てもらえるように、時間帯を合わせているとのこと。もちろん、店内からも麹室が見えるので、食事やお酒を楽しみながら麹づくりを見ることができます。
醸す酒と地元の魅力を伝える場をつくる
「糀 Marutani」を経営する関谷醸造の蔵元・関谷健さんは「日本酒メーカーとして、日本酒の魅力や楽しみ方を伝える場をつくりたいと常々考えていた」といいます。
まず実現させたのが名古屋市の古い町並みの残る那古野にある「Sake Bar 圓谷」、オーセンティックな雰囲気の日本酒バーです。2号店となる、ここ「糀 Marutani」はすこし違ったコンセプトのお店です。久屋大通公園という立地や昼間にも営業することで、1号店とは違った層のお客さんを想定して、スムージーなど麹のスイーツや麹の甘味・うま味を活かした料理を提供しています。
2つのレストランを通して、「地元の魅力を名古屋と名古屋を訪れる全国の方々に伝えたい」と関谷さんは語ります。料理ではなるべく地元の食材を使い、お酒の原料米も多くが地元産のもの。まさに、酒蔵のある設楽町・東三河の「地域」が楽しめる場所なのです。
蔵元直送の酒を造る「ほうらいせん吟醸工房」は多様な酒造りの技が積み重なった蔵
「糀 Marutani」には8種類の日本酒サーバーが設置されており、蔵元直送のお酒が楽しめます。関谷醸造が醸す定番の日本酒に加え、新しいタイプのお酒も提供される予定とのこと。東三河はフルーツの産地です。地元の果物を副原料に使ったりするなど既存の酒造りにとらわれない、「クラフトビール的な楽しさ」がある酒を考えているとのことです。
このような多様性のある新しい取り組みは、関谷醸造の2つ目の蔵、「ほうらいせん吟醸工房」で培われた技術とアイデアが基盤にあります。ここでは日本酒のオーダーメイドに十数年に渡って取り組んでおり、年間240種類ほどの原料や造り方の違う酒が醸されています。最も多くの種類の日本酒が醸されている蔵ではないでしょうか。
ここでも電気式の甑が使われています。糀 Marutaniで使われている5kgサイズよりも大きい200kgタイプのものです。杜氏の宮瀬直也さんによると、オーダーメイドのお酒は1種類につき4合瓶で100本程度の少量生産で、使われる米の量は1種類辺り60kg程度です。日本酒は三段仕込みをするので、一度に仕込む米の量は多くても20kg程度です。その日に仕込む数種類のオーダーメイド日本酒ようのの米を一緒に蒸すのにちょうどよいサイズの甑だといいます。
200kgタイプの甑を導入する前は、600kgタイプのボイラー式甑を使っていました。蒸籠の中にさらに小さな筒を入れて蒸すなどの工夫をしていましたが、やはり上質な蒸米を得ることは難しかったといいます。小型の電気式甑を導入してから、品質の高い蒸米を低コストでつくれるようになったとのことです。600kgを蒸す場合も20kgを蒸す場合も同じコストがかかることも課題でした。これも電気式甑で解決し、燃料効率の向上が実現できました。
宮瀬さんは「年間200本以上の違う酒を造るのは本当に大変なことだけれども、酒造りが好きな人にとっては楽しいこと」だと笑顔で話します。
「とてもよくできた思える酒でもお客さんの反応が今ひとつだったり、意外な点ですごく褒めていただくこともある。お酒は嗜好品なので、造り手としてどこまでお客さんに寄り添えるのかを考えている。多様な酒造りの技術だけでなく、このことが蔵人のスキルアップにつながっている」と進みます。多くの種類のカスタム日本酒を醸すからこそ語ることのできる言葉です。
ほうらいせん吟醸工房での電気式甑を使った蒸米の様子は、以下の動画でご覧になれます。
インタビューを終えて:地域性と嗜好の多様性
日本酒の魅力、そして酒蔵のある東三河・設楽町の魅力を伝えることが酒蔵の役割だと熱く語る蔵元の関谷さんの取り組みは、これだけにとどまりません。地域に農業法人を設立し、原料米の供給だけでなく、世代交代で担い手がいなくなる圃場を借りて米作りを続けることで、地域の農業を守っています。地域の酒蔵としての役割を再定義し、実践しているのです。地産地消を遥かに超えた価値を持つ取り組みではないでしょうか。いま、お酒や食べ物だけでなく、あらゆるものの嗜好が多様化しています。「ほうらいせん吟醸工房」では、想像を超えた多品種生産が行われています。地域と多様性、これからの時代の食文化をリードしている酒蔵だと感じました。
新しい時代の酒造りに対応した電気式「甑」の特徴は?
今回ご紹介した、可動式赤外線ヒーター電気甑 Super Large Steamer の優れている点は、
- 少量の蒸し米ができること
- エネルギー効率が良いこと
- 小回りがきくこと
の3点です。
少量の蒸米ができる
用途に応じた少量の蒸米ができるため、日本酒や甘酒・麹などの多品種少量生産に対応できます。
エネルギー効率がよい
一般的なボイラーを使う和釜式の場合、1時間に4,000〜5,000円のコストがかかります。ボイラーから蒸気を送る際の加圧・減圧によるロスなどがあるためです。これに対し、赤外線ヒーター甑の1時間あたりのコストは、電気代は約486円[1]。省エネルギー性は大きな利点です。
小回りがきく
もう一つのメリットは小回りがきくこと。サイズが小さくキャスター付きなので、電源のある場所ならばどこでも使えます。伝統的な酒蔵の建物では、作業動線の工夫が効率を左右するので、可動性のよさは重要なポイントです。
加えて、すべての作業を1人でできるという利点もあります。関谷醸造では、1人でオペレーションを行っています。また、ボイラー式のように専門的なメンテナンスや要員が必要ないこともメリットの一つです。
カスタマイズと海外対応
赤外線ヒーター甑には、温度を保つための専用ジャケットや、瓶火入れに使えるアタッチメントなどのオプションが取り揃えられています。さらに、開発者の佐々木さんは、「蔵によって使い方はさまざま、それに合わせてきめ細やかにカスタマイズしていく」と話します。
また、海外での利用に必要なCEマーキング(欧州)・UL規格認証(北米)に対応しており、すでに英国・米国・フランスへの納入実績があります。
地酒を愛する開発者の佐々木さん
この電気式甑を発案し、開発した佐々木英二さん(株式会社イーティーワイ代表取締役社長)は、「日本の文化財である地酒」を愛する「一合一笑の会」という日本酒ファンのコミュニティーを運営しています。
佐々木さんは30年以上、全国各地の地酒を飲み、酒蔵を訪問し、蔵元さんや杜氏さんなど造り手の方と交流・対話してきました。その体験や得られた知見が活かされた製品なのです。
電気式「甑」製品仕様
100kgタイプ・200kgタイプ
蒸篭のサイズが2タイプ、本体は共通です。
定格電圧 | 三相 AC200V |
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定格消費電力 | 18kW(中波長カーボンヒーター 3kW x 6灯) |
本体外形寸法 | 900(W)x 1350(L)x 950(H) 甑本体のみで蒸篭は含まれていません |
重量 | 約150kg |
蒸篭寸法 | 100kgタイプ: 約 ⌀ 900 x 535(H) 200kgタイプ: 約 ⌀ 900 x 800(H) それぞれのサイズで、アルミ t 3.0 タイプに加えステンレス SUS304 をご用意しております |
オプション | 火入れ水槽 1060(W)x 860(L)x 525(H) 一升瓶50本、四合瓶88本の火入れが可能です |
5kgタイプ
蒸篭の蓋部分で蒸気を回収するため、利用場所を選びません。
定格電圧 | AC100V 単相 30A |
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本体外形寸法 | 670(W)× 380(D)× 500(H) |
この記事の広告主体者は株式会社イーティーワイです。(2020年12月17日掲載開始)
1KWあたり27円で計算 ↩︎