神社で醸されるどぶろく4選
いくつかの神社では、どぶろくの御神酒が醸されている。そのうちいくつかを現地でテイスティングした。
酒は元来、全て神事で醸される御神酒であった。今では近隣の酒造メーカーが造る酒が御神酒として奉納されることが多いが、いくつかの神社では境内で氏子さんたちが酒を造っている。
日本酒コンシェルジュが、全国の神社で醸され、振る舞われるどぶろくをテイスティングした。味わいの奥には数々のストーリーが横たわっている。これについては別の記事で詳しくお伝えしたい。
飛騨一宮水無神社(岐阜県高山市)のどぶろく
まず夜に境内で振る舞われ、翌朝近くの御旅山まで行列をして、そこでまた振る舞われる。移動を伴う一連の神事には、地域のこどもから大人までが参加する。
佐香神社(島根県出雲市)のどぶろく
酒造り発祥後で出雲杜氏が醸すどぶろくだ。神社の前に広がる水田では出雲杜氏たちが米を育てている。
善根寺春日神社(大阪府東大阪市)のどぶろく
「ここで醸すから、お神酒になる」と高橋宮司が境内の造酒斎殿の前で語ったことばが忘れられない。
長草天神社(愛知県大府市)のどぶろく
地域の6組が伝承しながら交代で醸すどぶろく。なめらかで濃醇でバランスのよい味わいが特徴。
どぶろくは対話型の飲み物
どぶろくと澄んだ酒、清酒の違いは、酒の中に固体が残っているかということだ。
どぶろくを飲む時、米の粒を噛まなければならない。液体を飲むことは受け身であるのに対し、噛むことは能動的だ。ここに対話が生まれる。どぶろくを育んだ自然との対話だ。だから、どぶろくにはなるべく固体が残っている方がよい。